
7月11日にロシア・モスクワの赤の広場をスタートし、モンゴルのウランバートルまで14日間で東に7000kmを走りながら競い合う「トランスシベリア2008」というアドベンチャーラリーに出場してきます。
マシンは、ポルシェのモータースポーツ部門が専用に製作した「カイエンSトランスシベリア」。ドライバーは写真家の小川義文氏で、僕はコドライバー。小川さんは15年前まで、パリ・ダカールラリーやファラオ・ラリー、ロンドン・シドニーマラソンなどのアドベンチャーラリーに出場した経験を持つベテランだ。世界中から参加する35台のラリーマシンとそのサポートカーで競われる。日本からは、僕らだけ。

ドライバーはもちろん運転に専念するが、コドライバーというのは進むべきコースとルートを探し出し、判断する。僕はラリー経験がまったくなかったのだが、2003年に自分のクルマで、東京の自宅からロシアを横断してユーラシア大陸最西端のポルトガル・ロカ岬まで走った経験を小川さんが買ってくれて、トランスシベリアへ誘ってくれた。結果は、総合12位クラス9位で完走することができた。
今年は、昨年以上の結果を目指して再びスタートラインに立つわけだが、個人的には雄大なモンゴルの平原を、地平線に向かって走ることができるのを楽しみにしている。
アドベンチャーラリーでは、サーキットレースやWRC(世界ラリー選手権)タイプのラリーと違って、コースの下見ができない。ルートブックで指示されたポイントを、GPS(カーナビにあらず)が示す方角と距離だけを判断材料にして、探って行く。モンゴルの平原に道はなく、目印となるのは地元の人々が乗る馬の蹄や干上がった川の跡、ゲル(テントのような住居)などだ。

たとえば、南東の方角5km先に次のポイントがあるとする。でも、眼の前には山がそびえている。山を右から回って行くか、それとも左から回って行くか? あるいは、まっすぐ山を越えて勝負を掛けてみるか?
その判断をするのが、僕の役目となる
ロシア圏内では質素なホテルに宿泊するが、モンゴルに入ってからは毎晩、自分で建てたテントに泊まる。運転やナビゲーションだけでなく、旅の全生活が競技に含まれている。
最新のカイエンSとGPSを使いながら、僕らはヒトという獣に戻って、荒野を駆け巡る。オーガナイザーのサイトでは、毎日、各マシンの軌跡をたどることができるので、ぜひ、応援して下さい!