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誰もが唸る“お墨付き”。「肩書」で育てる時計とユーザー

篠田哲生プロフィール

 

 時計メーカーも時計ユーザーも、からっきし肩書に弱い。

 

 創業からの歴史や歴史的著名人との関係を語ることで「老舗」の肩書をアピールし、新興勢力であれば昨今のセレブリティたちとの華やかな交流を見せることで「御用達」の肩書を狙います。

 

 品質に対する肩書が欲しければ「クロノメーター認定」や「ジュネーブシール」がおすすめ。第三者機関による認定のため、客観的な肩書という安心感も生まれます。

 

 私もご多分にもれず肩書に弱くて、中でも「時計師が愛用している時計」という肩書に最も反応してしまいます。プラチナケース×ブラックダイアルのA.ランゲ&ゾーネ「ダトグラフ」が憧れの時計なのですが、これも“カリスマ時計師フィリップ・デュフォーが購入した”という凄い肩書があるから。ちなみに“デュフォグラフ”との異名を持っているそうです。

 

 さて本題。

 スポーツウォッチにおける最高の肩書は、競技をドラマチックに演出する「オフィシャルタイムキーパー」でしょう。オフィシャルタイムキーパーを担当するメリットは、競技が持つ圧倒的な知名度を共有できること。時計愛好家以外にもブランド認知を広げることができます。

 

 例えばサッカーワールドカップのオフィシャルタイムキーパーを担当したウブロは、そのおかげでサッカー少年たちへの認知が広がりました。すなわちウブロは20年後のユーザーを青田買いしたということです。

 

 タグ・ホイヤーはF1のオフィシャルタイムキーパーとして名を馳せました。F1ドライバーのルイス・ハミルトンは現在タグ・ホイヤーのアンバサダーですが、彼の“ファースト・ウォッチ”も実はタグ・ホイヤー。これは偶然ではなく、彼がまだ子供だった時に参加したカート大会の優勝賞品がタグ・ホイヤーだったから。このような草の根活動が実り、F1から離れた今でも“モータースポーツ”がタグ・ホイヤーの肩書なのです。

 

 そんなF1と並ぶモータースポーツのビッグイベントが、WRC(世界ラリー選手権)です。

 

 日本ではそれほど認知度が高くないWRCですが、テレビ視聴者はのべ6億3千万人という規模を誇る世界3大モータースポーツの一角。2007年のF1総合王者キミ・ライコネンが参戦したことが話題になりました。

 

 エドックスは今年からこのWRCのオフィシャルタイムキーパーを担当しています。

 

 9月9日~12日まで札幌にて開催されたWRC第10戦ラリー・ジャパンのメイン会場、月寒ドームにはエドックスも参加。普段は見慣れぬスイスの時計メーカーが展示しているため、興味深げに観客が次々と訪れます。またコースサイドにもエドックスのバナーが設置されており、WRC=エドックスというイメージ作りが着実に進行しているようでした。

 

 まだ始まったばかりのプロジェクトですが、世界中のWRCファンの中から将来のエドックスユーザーが育っていくことでしょう。「立場が人を作る」という言葉がありますが、“立場”は“肩書”と言い換えることもできます。そして、魅力的な“肩書”が時計とユーザーを育てていくのです。

 

 

誰もが唸る“お墨付き”。「肩書」で育てる時計とユーザー  

取材陣にも配られたエドックス×WRCのポロシャツ。なかなかオシャレです。

 

 

誰もが唸る“お墨付き”。「肩書」で育てる時計とユーザー  

エドックスの特設ブースはトラック仕立て。迫力あるビジュアルには、WRCとClass-1のオフィシャルタイムキーパーであることが書かれています。

 

 

誰もが唸る“お墨付き”。「肩書」で育てる時計とユーザー  

ラリー・ジャパンの特徴が、札幌ドーム内を疾走するSS区間。館内には爆音が響き渡ります。

 

 

誰もが唸る“お墨付き”。「肩書」で育てる時計とユーザー  

こちらは日本限定モデルとして100本のみ生産される「WRC クロノラリー ジャパン リミテッド エディション」。ホワイトダイアルが特徴で、価格は18万9000円。11月発売予定。