時計のジャンルにはモータースポーツやミリタリーなど多数あります。しかしその魅力をイマイチ伝えきれていないのが、ヨット系ウォッチ。時計メーカーでは、ヨットメーカーやヨットイベント、レースなどとのコラボレーション・モデルが年々増えていますが、日本から「好調です」という話はあまり聞かれません。
というのも四方を海に囲まれた島国にしては、日本はマリンレジャーへの情熱が薄い。
漁業権との兼ね合いで沿岸部を自由に航行ができないという法的不備もあって、ヨット人口はどんどん減少&高齢化中。しかも若者を惹きつけるマリン系スターも、石原裕次郎以来登場していないと専門誌スタッフも嘆いています。
おまけに若者の海離れも進行中。彼らは「海やビーチが汚い、ベタベタ&ザラザラが嫌だ」と敬遠していますが、確かに沖縄以外の海岸にはラグジュアリーな香りがしない。これではヨットやマリンカルチャーが高級時計の売りになりません。
その点、ヨーロッパの人は海が好き、特に地中海が大好きだ。バカンス期間ともなれば南仏やスペイン、北アフリカにまで足を延ばし、海と太陽を存分に楽しむ。スイスなんぞは、内陸国にも拘らずヨットを含めたマリンカルチャーが大好きで、氷河湖しかないくせに『ソシエテ・ノウティーク・ジュネーブ』というレマン湖のヨットクラブが“チーム・アリンギ”で世界最大のヨットレース「アメリカスカップ」にも参加し、しかも2003年、2007年と連覇してしまったほど。
つまり彼らにとっての海とは、レジャーを楽しむ場所であり、本気のスポーツを楽しむ場所でもある。マリンカルチャーがしっかり根付いているからこそ、ヨット系ウォッチが人気になるのです。
こうなると“海=漁業”という鳥羽一郎的世界観が主流の日本で、ヨット系ウォッチを売るのは至難の業。コラボレーション相手との関係や文化が理解できない我々には、時計の魅力がなかなか伝わりません。
ではどうやってマリンカルチャーを盛り上げればよいのか? それはかつて“ニッポン・チャレンジ”で挑んだアメリカスカップへの再挑戦ではないでしょうか。
海洋大国ニッポンが海なし国スイスの後塵を拝しているのは情けない。ここはひとつ技術力を結集したハイテクヨットで世界を舞台に戦うことで、日本におけるマリンカルチャーの底上げを図るのです。
ヨット関係者の皆さんの決断に、日本におけるヨット系ウォッチの販売計画がかかっているのです。
ウブロはアメリカスカップのオフィシャルタイムキーパーを務めるだけでなく、チーム・アリンギもサポート。しかし残念ながら2月のバレンシアで行われた第33回アメリカスカップでは、BMWオラクルレーシングに敗北を喫してしまった。 |
世界限定333本の特別モデル、ウブロ「キング・パワー アリンギ」。迫力満点のマルチレイヤーダイアルの9時位置に、赤いアリンギのマークが入っている。 自動巻き、ブラックセラミックケース、ケース径48㎜。 242万5500円 |
先日、リビエラ逗子マリーナでは「マリンフェスティバル」が開催されました。会場には高級車が展示され、トヨタ製のボートは一億円超。ヨット&ボートオーナーは日本でも超リッチです。しかし時計メーカーの参加はゼロ。これも問題です。 |