香港といえば、いまやアジアの金融センターであると同時に、巨大な貿易・ビジネスハブとして、不景気で低迷している日本経済を尻目に、様々なシーンで活況を呈している。その主な原因としては、世界最大の巨大経済新興国である中国経済とともに発展をしているということなのだが、その一方、規制の少ない低税率な自由経済を持つ香港市場の特徴を十分に生かしているともいえるのである。そんな中、10月30日、31日に香港で行われた サザビーズ香港のワインオークションでは記録破りの「高額」な落札が相次ぎ、取引総額も世界トップを窺う額に上昇したという。その現場を紹介しよう。
香港でワイン市場が活性化したのは2008年に、それまで80%と飛びぬけて高かったワインの酒税を撤廃したことにある。これは世界のワイン消費が1%と伸び悩んでいる中、今後毎年10%成長するであろうと言われているアジア(特に中国)でのワイン流通ハブとしての世界的地位を確保するために行われた。香港市場全体の活気を背景に、香港での高級ワイン消費は拡大傾向にあり、欧米のワイン消費先進国、ワイン生産業者もこれに注目。大きなワインフェスティバルやワインオークションを次々と香港で開催されるようになって、2009年の香港のワイン輸入総額は5億1670百万米ドルとなり、実に2008年の輸入総額の40.8%増にもなっている。これによって香港ではこれまでビールを飲み干していたライフスタイルが変化して高級ワインを飲む習慣が定着しつつあるのだ。
また投資家の投資対象としても、金融危機以降、現物資産へと投資対象が広がっており、その中でも現物への投資対象として高級ワインへの投資は人気が高く、優良ワインの価格は1993年からの期間で見れば上昇率は974%、年率にすれば15%と、同期間の金の上昇価格7%を凌ぐものとなっている。過去5年間の平均リターンも20.9%となり、他の資産よりも収益率が高くなっているのも投資家の人気が高い理由であろう。中国の近代化は今後も継続的に進むであろうと予想されるため、これらの優良ワインの価格も十分に上昇の期待が出来る。ワインは年数を経るごとに熟成が増し、価値が高まり、値下がりするということがないというのが大きな魅力。金融商品と異なり、現物があるためにどんなことがあっても価値がゼロになるということはない。名門シャトーのワインの生産量は限られているために流通する本数は年を追うごとに減っていくために価格は上昇し、その価値を上げることになり、プレミアムワインともなれば数百万円の価格が付くことになる。
Text:Takamasa Wada