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実だくさん


  ふとすると、あちらこちらで“クリスマス”を目にするようになりました。こうなると“暮れ”“年の瀬”を毎年ながら感じるものです。

  クリスマスカラーというと、ぱっと浮かぶのは何色ですか? 近年はシルバーなどもトレンドですが、“赤”と“緑”を思われるのではないでしょうか。赤は、『キリストの血の象徴』、緑は一年中葉を茂らせる針葉樹から、『永遠の命の象徴』と言われ、1つ1つに意味が込められているのだとしみじみと感じたことがあります。




  自分はこの時季、ただひたすら“実もの”に心魅かれます。本当に美しい……。“実”というものは必ずではありませんが、芽が出て花が咲き、やがて実を結ぶ。人も人生において、どんな種を蒔き、花を咲かせ実となるのか。人生の楽しみでもありますね。この時季、様々な美しい実を見ると、人生はもちろん、この1年はどのような実となったか、来年ははたまたどのような実をつけるのか……と考えさせられます。一年一年この年の瀬の頃には実りあるものでありたいですね。そんな意味でも、この時期“実もの”は自分なりに欠かせないものです。



  比較的、持ちも良いので普段飾るにもお勧めいたします。このようなガラスの花器に1本入れて頂くだけで、ちょっとしたアクセントになります。花器もシンプルなもので十分。そのままの自然美を楽しんで頂くのが一番。それをそのまま見せればインテリアになってしまいます。

  贈るのでしたら、一種類を集合させるとその美しさがより引き立ちます。または、実ものばかりのアレンジメントはいかがでしょうか。気に入った実ものばかりで(10種類以上)、スクエアのアレンジメントをつくってみました(正方形は自分の中で重要なものです。また触れますが)。実りの恵だけあって、豊かさを満たしてくれますね。実ものばかりを箱にぎっしり詰めて贈り物にするのも喜ばれそうです。


  そして新年は、和ものの実。代表格は南天です。今この辺りでは、葡萄のように真っ赤な実をたわわにつけています。他にも千両、万両などおめでたいものばかり。実ものは、『恵と豊かさの象徴』です。冷えているご時世を感じさせない実もので豊かな年の瀬、新年をお迎えください。美しい実りの年であるように!

 
国内外を問わず活躍するフラワーアーティスト。2006年にはInternational Annual of Floral Art 0506(国際フローラルアート年鑑)ベルギーにて、世界各国の選りすぐりのフラワーアーティストが出品する中、最優秀賞であるゴールデン・リーフ賞を受賞するなど、花の一瞬の美しさを見極め、日本独自の美意識を取り入れた作品が国内だけでなく海外でも評価され、数々のタイトルを獲得。自身のフラワーショップのある三重県菰野町と東京で花教室を主催するかたわら、TV出演や個展開催、2008年秋にはベルギーのStichting Kunstboek社より写真集を出版するなど、その活躍の場を広げている。

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