-記録としての写真の見せ方にも気を配っていらっしゃいますが、そこで伝わらない部分があるとするならば、それは何でしょう?


活動を始めた早い段階で作品を記録しておくことがとても重要だと気付きました。我々が果たすプロジェクトの大部分が特定の場所のために創られているので、そこにいなければ、我々のプロジェクトを経験することが物理的に非常に難しくなります。例えばビデオの場合、可能な限り現場での体験に近い記録をすることを心掛けています。当初、我々が建築装置を計画している時、作品が最も良い角度で見ることが出来るよう考慮し、再現しようとしました。

-私は2003年のMassive Attackの来日公演の現場にいたのですが<コトバ>を視覚で伝える方法にあらためて新鮮さを覚えました。仕事をする上で、音楽との関わり方を教えてください。あと、普段はどんな音楽をお聞きになっているんでしょう?


例えば、あなたが、このMassive Attackのステージでの作品は、音楽、それによって通い合う愛情やインスピレーションを受けて創られている、と言うかもしれません。ただそれは頭の中で起こっていることですから、それを他の人に明確に説明するのは困難です。どのステージパフォーマンスも起点は音楽なんですが、発注者に作品を見せる前に、我々は何とか自分たちの内部で起こっていることと作品との一致を図るように努めていますね。

あと、オフィスなんかで聞いている音楽はとても幅広いよ。今日だと、James Brown, Scuba, Dinah Washington, Lupe Fiasco, Johnny Cash, James Holden, Boards of Canada, Tortoise, Talking Heads, Black Mountain, Spank Rock とか様々ですね!


-United Visual Artistsとしてインスピレーションを感じるのは、どういった状況でしょうか。


United Visual Artistsは先程も言いました様に、様々なバックグラウンドを持った集合体です。こうした集合体で動く利点の1つは、皆の仕事への異なったアプローチとお互いにどうインスパイヤーされるかということです。ロンドンのようなクリエイティブな街に住んでいると、コンスタントに素材を得ることができます。さきほどの発言について言えば、「瞬間」の中に人を集めることにもインスパイヤーされますね。このように、仕事や経験から得られる感覚がいつも今後の活動にも影響を及ぼしているのです。
 

-今後の展開について、プロジェクトの進行、告知等も含め。ご説明できる範囲で教えて頂けたらと思います。


現在、取り組んでいる作品や私たちの全てのプロジェクトについてお伝えしたいのは山々なのですが、いくつかは秘密です。私たちのサイトを見てください。いくつかの極東方面を含め、現在世界中の様々な建設設備のために「Contact」と「Volume」を準備している途中です。それらロンドンのMeltdown festivalの作品を中心として、我々はMassive Attackと共にいくつかのプロジェクトを進めています。UVAとMassive Attackは、これまでお互いにショーアップするだけだった作品を、ギャラリーで展示できる作品として、制作に取り組んでいるところなんです。

-最後にお聞きします。LEDの光は人々の心に残るモノだと私は感じていますが、このLEDを使用している理由、そしてLEDというプロダクトに対しての思い入れを語って頂けますか?


我々が光る素材としてLEDを愛している理由はいくつかあります。LEDは光の反射、もちろん映像を投影するのでもなく光の伝達が可能です。また、信じられない色反応があり、エネルギー効率も素晴らしい。それを目にした人は触ったり、感じたりといった本能的反応を示してくれます。珍しさ、というのもあるんでしょう。中々間近でLEDを観たことのある人は少ないでしょうし。LEDの価格が下がるのが待ち遠しいですね。そうすれば最終的に高層ビルをLEDで覆ってしまえますから。日本で是非やってみたいですね。

 
   
  2003年、英国のロックバンド、マッシブ・アタックのワールドツアーのビジュアルを担当し、そのクリエイティブな映像表現で注目を集める。現在、ロンドンを拠点に、ライブパフォーマンス、インタラクティブ作品、建築用のインスタレーションなど幅広い分野で活動し、特に観客が介在することで成立するインタラクティブな作品で先鋭的な作品を発表。http://www.uva.co.uk/ (英語サイト)