MIRRORBOWLERは、数百個のミラーボールを使って光と反射の空間作品を作り出すアート集団。様々な職種のメンバーから構成されているようです。

2003年夏に世界的ロックイベント「FUJI ROCK FESTIVAL」に参加されていたのが初MIRRORBOWLERなんですが、新潟の苗場といういかにも自然美あふれる風景の中に、無機質なミラーボールが大量にあり、しかもそれが人工的な光でキラキラ輝いているという…。 その光景に、ものすごいギャップを感じたんです。


この場所になんでこの装飾なのか。自然と不自然の対比は、いい意味での「ユルさ」を発していて絶妙に面白かった。数百個のミラーボール空間に吸い込まれ、ああ、かっこいいなと思った瞬間に、思わず笑ってしまいました。

そのフォルムはあくまで、装置であって、でも形態としての面白さもあって、でも主役は光なんだと。金属的な乱反射と自然の風景が織りなす違和感が素晴らしい。記録としての写真も光の演出を含め完全なる瞬間演出です。

 
面白いのは展示作品を観ても、ミラーボールを欲しいなどとは思わないことです。その空間に、彼らが手掛けた数百個のミラーボールが光り輝いていること自体に意味がある。しかも同じ展示を別の場所ではしないそうです。野外の展示作品に関しては、どの時間帯に見るかということにも左右されますし、その日の天候によっては、数百個のミラーボールと周囲との関係性は全く変わってくる訳ですよね。そういった点を考慮するとパフォーミングアート的な即興性が備わっているとも言えます。

  彼らの作り出した空間のインパクトは、それを観た人の心に焼き付くものです。とはいえ、大仰に構える必要は全くないです。面白そうだからちょっと観に行ってみよう!というシンプルな動機で接することができるのが、MIRRORBOWLER作品(空間)。アートと真面目に対峙する時間があってもいいし、ただ無闇にワーっと近くに行きたくなってしまう感覚も、気持ちの良いものです。世代も問いませんし、彼らのことを何も知らずに観に行っても、何これ!と、とりあえず驚ける懐の深さが最大の魅力です。

今後の活動は多種多様なメンバーをまとめる代表の麻田氏の展望も含めお聞きしたいところですが、ミラーボールへの追求は続けて頂きたいと思います。ミラーボールを超越した「光」の演出に昇華していくことも期待しつつ。


 
   
  数百個のミラーボールを使って「宇宙と和式美」をテーマに光と反射の空間作品を創り出すアート集団。グラフィックデザイナー、写真家、照明家、美術講師など様々なジャンルのメンバーから構成される。2000年から活動を始め、2003年夏にはFUJI ROCK FESTIVALに舞台装飾として参加。CARTIER、CHAUMET等のパーティー装飾も手掛ける等、様々なイベントにおいても作品を発表している。
http://www.mirrorbowler.com/