ミヅマアートギャラリーにて、2009年6月12日~7月11日(土)の期間中、倉重迅の個展「Hollow Point」が開催される。
今回の展示は、映像表現の分野で活躍中の倉重迅による、東京では約2年ぶりの個展。
1975年神奈川生まれの倉重は、これまでフランスを拠点とし、日常生活の中で「見たもの、感じたもの」から着想を得たビデオやインスタレーション※を中心に創作活動を行ってきた。最近では、シドニービエンナーレ「REVOLUTIONS- FORMS THAT TURN」、ソウルのGallery LOOPでの「Move On Asia 2009」に参加するなど、国内外で活躍の場を広げている。
会場には、近年、CMなどアートとは異なる環境の中で映像制作に携わる機会のある倉重が、アートという独特のフィールドにおける映像表現の可能性を再考察した、新作インスタレーション2点が展示される。「Tank and Potted Flower」は、スペース内に並べられた大量の何かのパーツ(実像)とモニターから流れる映像(虚像)から、鑑賞者各々がその場に存在しない立体作品の形成を試みる作品。また、サスペンスタッチの映像作品「The Cliff」でも、作家が追求しようとする虚像と実像の交点を描き出す。
倉重は、鑑賞者が作品を前にした時、そのファーストインパクトだけではなく、その奥に存在する第2、第3の要素を体内で消化し、考察を深めて欲しいという思いを込めたという。作家が追求しようとする虚像と実像の交点を垣間見る、奇妙ながらも奥深い世界に触れてみてはいかがだろう。
※インスタレーション:現代美術の表現手法の一つ。ある空間自体を作家の意向に沿って演出、構成。鑑賞者に空間そのものを作品として鑑賞させる。