Fondation Cartier pour l'art contemporain
© Luc Boegly
ミラノ トリエンナーレとカルティエ現代美術財団が欧州初の文化協力を締結
ミラノ トリエンナーレとカルティエ現代美術財団は、8年間にわたるパートナーシップを結び、展覧会とライブショーによる見ごたえある共同プログラムをミラノで催すことになります。このパートナーシップの皮切りとして、両者は2020年10月17日から2021年2月7日まで、ブラジルのアーティスト、クラウディア・アンデュジャール(Claudia Andujar)のたぐい稀な作品を取り上げる『クラウディア・アンデュジャール(Claudia Andujar)展:「The Yanomami Struggle」(ヤノマミ族の闘い)』を開催いたします。アンデュジャールは1970年代から、ブラジル最大級の先住民族であるヤノマミ族の写真撮影と擁護に生涯を捧げてきました。ヤノマミ族は目下、違法な金採掘業者とコロナ禍によってこれまで以上の脅威にさらされています。この画期的なコラボレーションは、欧州において、公的機関と民間機関の文化協力の新たなモデルを示すものです。
ミラノ トリエンナーレ内の1,300m²のスペースが、カルティエ財団のプログラムから生まれる展覧会、あるいは2つの機関の緊密な協力によって企画される展覧会の会場に充てられることになります。ミラノ トリエンナーレとカルティエ財団は、現代アート創作について共通のビジョンを持ち、両者ともに、コンテンポラリーアート、建築、デザイン、ファッション、映画、科学、哲学といったあらゆる分野に門戸を開き、分野横断的な国際色豊かなプログラムを手がけています。
現代の主要な環境問題に対する両者の関わりが、第22回ミラノ トリエンナーレ国際展の一環である『Broken Nature:Design Takes on Human Survival(壊れた自然:デザインが人類の生き残りを担う)』展の枠組で、バーニー・クラウス(Bernie Krause)とユナイテッド ビジュアル アーティスツ(United Visual Artists)によるカルティエ財団収蔵作品「The Great Animal Orchestra」の上演につながりました。
カルティエ財団はかねてから、イタリアの現代アートシーンと密接なつながりをもっています。とりわけアレッサンドロ・メンディーニ(Alessandro Mendini)、エンツォ・マーリ(Enzo Mari)、アンドレア・ブランツィ(Andrea Branzi)、ジュゼッペ・ペノーネ(Giuseppe Penone)、最近ではフォルマファンタズマ(Formafantasma)との出会いが、彼らの豊かな作品をパリの人々や旅行者たちに紹介する主要な展覧会へとつながっていきました。財団のコレクションには、これらのたぐい稀なクリエイターたちによる作品が多数所蔵されています。
現在、アーティストの支援、作品の宣伝・普及、現代世界に関する有意義な観点の提示において、欧州組織間のアイデア交換、経験共有、文化ネットワーク構築が、これまで以上に重要になっています。それを踏まえ、ミラノ トリエンナーレとカルティエ財団は協力し、国際的な現代アートを支援する新たな対話を生み出していきます。
このパートナーシップは、2020年10月17日に『クラウディア・アンデュジャール(Claudia Andujar)展:ヤノマミ族の闘い』で幕を開け、引き続き2021年には、カルティエ現代美術財団のコレクションの中からギジェルモ・クイッカ(Guillermo Kuitca)が選定・監修にあたる『Les Citoyens」(市民)』展が開催されます。このアルゼンチンのアーティストは、コレクションの作品群の間の新たなつながりを明らかにし、アンサンブルとまとまり、集団と個人といった概念を複数の声を通じて取り上げる旅へと鑑賞者を誘います。この展覧会は、それ自体が一つの創作となり、クイッカならびにそれぞれの出展アーティストの世界に浸ることができます。
Triennale Milano
© Triennale Milano - Photo Gianluca Di Loia
ミラノ トリエンナーレ
ミラノ トリエンナーレは、デザイン、建築、ビジュアルアート、パフォーミングアートといった、現代文化に関するあらゆる形態のアートを一堂に集める国際文化機関です。それは、アートとデザイン、創造性とテクノロジー、伝統と革新が出会う場です。
ステファノ・ボエリ(Stefano Boeri)が代表を務めるミラノ トリエンナーレは、主要なイタリア国内外の建築家、デザイナー、アーティストの作品を展示します。展覧会、会合、カンファレンス、パフォーマンスなどがプログラムの目玉となり、それらは現代社会の主要な課題について考えるきっかけをつくり、国民的議論のテーマにもなります。
ミラノ トリエンナーレは、国際色豊かで分野横断的なプログラム編成を行う独自のシアターを有するとともに、イタリアンデザインのコレクション、ならびに現代アートに特化した図書館、アーカイヴ、保存研究室を併設しています。
同文化機関は、デザインと建築に的を絞った最重要イベントであるミラノ トリエンナーレ国際展を3年毎に主催しており、次の開催は2022年に予定されています。
2019年4月9日、ミラノ トリエンナーレは、常設コレクションの一部にハイライトをあてるイタリア デザイン博物館(Museo del Design Italiano)をスペース内に開設しました。イタリアンデザインを最も象徴する代表作1,600点近くが集められています。
ミラノ トリエンナーレは、ミラノのパラッツォ デッラルテ(Palazzo dell'Arte)内にあり、1933年に建築家ジョヴァンニ・ムツィオ(Giovanni Muzio)が手掛けたその建物は、イベントや、ミュージアムあるいは演劇にも対応できるフレキシブルなモジュール式スペースとして設計されました。
カルティエ現代美術財団(パリ)
1984年にカルティエによって創設されたカルティエ財団は、世界中のアーティストのために、またあらゆるオーディエンスに作品を広めるために、ユニークかつクリエイティブな環境を提供しています。
パリに位置する、建築家ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)が手掛けたアイコニックな建物にあり、エルベ・シャンデス(Herve Chandes)が指揮をとるカルティエ財団は、環境問題や社会科学、数学など、美術館で扱われることが珍しいテーマも広く取り上げています。
財団は、現代のあらゆる分野の創作活動を網羅し、アーティスト、哲学者、ミュージシャン、建築家の間の意外な出会いを促進する、多岐にわたる分野横断的な特徴を保っています。
カルティエ財団は、制作依頼から展覧会まで、アーティストを長期にわたって支援し、アーティストと特別なつながりを築きます。時が経つにつれて、こうした交流から、ユニークなコレクションが生まれ育ち、今では、50ヶ国の400人以上のアーティストによる1,600点以上の作品を所蔵するまでになっています。
カルティエ財団の展覧会やコレクションは、世界中で光彩を放ちます。欧州では、とりわけミラノ トリエンナーレとのパートナーシップを通して、また欧州以外でも特に中国において、カルティエ財団は上海当代芸術博物館と特別なつながりを保っています。
The young Susi Korihana thëri swimming, infrared film, Catrimani, Roraima, 1972–74
© Claudia Andujar
『クラウディア・アンデュジャール展:ヤノマミ族の闘い』
2020年10月17日 - 2021年2月7日
ミラノ トリエンナーレ
ミラノ トリエンナーレとカルティエ現代美術財団が、ブラジルのアーティスト、クラウディア・アンデュジャールの作品と活動を取り上げる過去最大規模の展覧会を開催します。クラウディア・アンデュジャールは50年以上にわたり、ブラジル最大級の先住民族ヤノマミ族の写真撮影と保護に生涯を捧げています。ヤノマミ族の居住地域は現在、違法な金採掘に加えて新型コロナウイルス感染症の蔓延が重なり、これまでにも増して危機にさらされていますが、『クラウディア・アンデュジャール(Claudia Andujar)展:ヤノマミ族の闘い』は、人道および環境危機がコロナ禍によってさらに悪化する中、新たな今日的意義を帯びたものとなっています。
「私は、先住民ヤノマミ族、彼らの土地、彼らの戦いと心でつながっています。そのすべてが私の心を揺さぶります。私にとってそれらすべてが本質的なものです。おそらく私は、この根源的な核の中に、生きる意味への答えを常に求めてきたのでしょう。だからこそアマゾンのジャングルに向かうことになったのです。それが本能であり、探し続けていた私自身なのです」
クラウディア・アンデュジャール
展覧会内容
ブラジルのモレイラ サレス インスティチュート(Instituto Moreira Salles)の現代写真部 部長であるチアゴ・ノゲイラ(Thyago Nogueira)がキュレーターを務めるこの新しい展覧会は、写真家クラウディア・アンデュジャールのアーカイヴの4年間にわたる研究を基に、この時代の彼女の作品に的を絞り、300点以上の写真、オーディオビジュアル インスタレーション、ならびにヤノマミ族による一連のスケッチと1本の映画を集めています。本展では、写真芸術へのクラウディア・アンデュジャールの並外れた貢献、ならびにヤノマミ族の擁護における人権活動家としての彼女の大きな役割を探ります。アートと人権活動の両方に力を注いできた彼女のキャリアの二面性を反映して、本展は2つのセクションに分けられます。1つ目は、ヤノマミ族と暮らした最初の7年間の写真を展示し、複雑な文化を視覚的に読み解くという難題に彼女がどう取り組んだかを示します。2つ目のセクションでは、写真をとりわけ政治変革のためのツールとして使い始めた人権活動時代に手掛けた作品が展示されます。
Catrimani, Roraima, 1972-1976
© Claudia Andujar
クラウディア・アンデュジャール
1931年、スイスのヌーシャテル生まれ。現在はサンパウロに在住し活動しています。育ったのはトランシルバニア。そこは当時、長年にわたるハンガリー支配の後、ルーマニアに組み込まれたばかりでした。第2次世界大戦中、ハンガリー系ユダヤ人だったクラウディアの父親と父方の親族はダッハウの強制収容所へ送られ、そこで亡くなりました。クラウディア・アンデュジャールは母親と共にスイスに逃れ、1946年にひとまず米国へ移住。その後1955年にブラジルへ移住して、そこでフォトジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、やがて活動家となりました。
「私はトランシルバニアで育ち、第2次世界大戦中に父と父方の親族すべてを失いました。全員強制的に収容所に送られ殺されたのです。1955年にブラジルへ移住し、現地の人々とつながる手段として写真を始めました。1970年代初めにヤノマミ族との取り組みを開始し、彼らはすぐに私の第二の家族となりました。彼らと親しくなり、今でも身近に感じます。彼らが直面している脅威に気づいたとき、私は、彼らが占有する土地の画定を確保する手助けとして、ブラジルの法律において土地が正式に認められる取り組みに時間を捧げる決意をしました。何年にもわたる苦闘の末に、私たちの取り組みは成功を収めました。今回の写真展は、ヤノマミ族との長年にわたる協力の重要な一部です。悲しいことに、彼らの土地は2万人の金採掘業者によって再び侵略されています。そのため、ヤノマミ族がさらされている危険についての認識を向上させ続けることがきわめて重要です。本展がその一助となることを願っています」
クラウディア・アンデュジャール
ヤノマミ文化を読み解く
クラウディア・アンデュジャールが初めてヤノマミ族と出会ったのは、雑誌『Realidade』のアマゾンに関する記事のための取材をしていた1971年のことでした。この孤立したコミュニティの文化に魅了された彼女は、プロジェクトをサポートするグッゲンハイムのフェローシップを得た後、彼らの日常生活に関する詳細な写真エッセイに着手することを決意します。この地域にいたイタリア人宣教師カルロ・ザッキーニ(Carlo Zacquini)の力添えもありました。当初より、彼女のアプローチは、同時代の正攻法のドキュメンタリー・スタイルとは大きく異なっていました。この時期に彼女が撮影した写真は、ヤノマミ族のシャーマニズム文化を視覚的に読み解くべく、いかに多様な写真技法を試みたかを示しています。カメラのレンズにワセリンを塗ったり、フラッシュ装置、オイルランプ、赤外線フィルムを使ったりするなどして、視覚的な歪みや、光の筋、飽和色を生み出し、映像に異なる世界感を吹き込みました。
クラウディア・アンデュジャールは、ヤノマミ族の美しさと威厳を捉える一連のシンプルな白黒ポートレートも制作しました。顔や、体の一部に近接的にフォーカスすることで被写体をタイトに切り取り、ドラマチックな明暗法(キアロスクーロ)を用いて親近感を生み出すとともに、個人の心理的状態に注意を引き寄せます。
本展では、この時期に撮られた多数の写真と併せて、ヤノマミ族による選りすぐりの貴重なスケッチも展示します。クラウディア・アンデュジャールは、ヤノマミ族の写真を自身で長年撮影するうち、ヤノマミ族自身の自然観や宇宙観を表現する機会をヤノマミ族に提供することが重要だと感じました。そこで、住民たちにマーカーと紙を渡し、スケッチ プロジェクトを開始しました。本展では、ヤノマミの神話、儀式、シャーマニズム的ビジョンを表現したスケッチも展示されます。
Collective house near the Catholic mission on the Catrimani River, Roraima, infrared film, 1976
© Claudia Andujar
政治活動
1970年代の末頃までに、クラウディア・アンデュジャールはキャリアの転機を迎えていました。ブラジルの軍事政権によって開始されたアマゾンでの大陸横断道路の建設は、森林伐採や侵略的な農業プログラムへと広がり、ヤノマミ族に伝染病をもたらすとともにヤノマミ社会全体の消滅につながる危機にさらされました。この状況は、ヨーロッパでの大量虐殺の記憶を彼女に呼び覚まし、その衝撃の大きさから、ヤノマミ族の戦いに尽力することを決意しました。1978年、彼女は、イタリア人宣教師カルロ・ザッキーニとフランス人人類学者ブルース・アルベール(Bruce Albert)と共にCommissao Pro-Yanomani(親ヤノマミ委員会)(CCPY)を立ち上げ、ヤノマミ族の族長ダヴィ・コペナワ(Davi Kopenawa)と共に、ヤノマミ族の祖国を画定するための14年間に及ぶ運動を開始しました。このとき、写真家としてのキャリアにおいて、芸術プロジェクトは脇へ置き、写真を主に意識向上と自らの主張をサポートするための手段として用いました。
1980年代初め、クラウディア・アンデュジャールは、予防接種キャンペーンの一環として、ヤノマミ族の白黒ポートレート写真を撮りました。医療記録上、本人確認がしやすいよう、彼らは番号の入ったラベルを身につけていました。クラウディアは、こうしたラベルが、ホロコーストの際に「死の烙印を押された」人々の数字のタトゥーを思い起こさせ衝撃を受けました。その後、これらのポートレートを改めて取り上げ、最終的にはヤノマミ族の存続のためであるにせよ、こうしたラベルに内在するあやふやさを明らかにする「Marcados」シリーズを制作しました。本展では、このシリーズの未発表の写真を展示します。
このセクションで展示されるその他の主な作品の1つは、「Genocide of the Yanomami:Death of Brazil(ヤノマミの大虐殺:ブラジルの死)」(1989-2018年)です。本展のために特別に再現されたこのオーディオビジュアル インスタレーションは元々、ヤノマミの領地を19の居留地に分割する1989年に署名された法令への反抗として制作されたものです。
クラウディア・アンデュジャールのアーカイヴからの写真を用いて制作され、照明とフィルターを用いて再撮影されたこのプロジェクションは、調和の世界から、西洋文明の進歩によって破壊された世界へと来場者を導きます。このインスタレーションは、ヤノマミ族の詠唱と実験音楽を融合したマルルイ・ミランダ(Marlui Miranda)作曲のサウンドトラックで構成されています。
1992年、クラウディア・アンデュジャールや、カルロ・ザッキーニ、ブルース・アルベール、ヤノマミのシャーマンでスポークスマンのダヴィ・コペナワによって主導された運動を受けて、ブラジル政府は、ヤノマミ族の領地を法的に画定することに同意しました。しかしながら、国連環境開発会議の前夜に認定されたこの領地は、2万人の違法採掘業者により侵入され、またそれに対するブラジル政府の不作為と容認により、今なお脅かされています。
Slides from the audiovisual projection, 1989-2018
© Claudia Andujar
クラウディア・アンデュジャールの作品は、ヤノマミ族の複雑な宇宙論的世界観を比類なく垣間見させてくれるとともに、ヤノマミ族に対して振るわれた暴力に対する強烈な政治的告発ともなっています。彼女の写真の爆発的な力は、ヤノマミ族とアマゾン川流域がさらされている新たな脅威について、今もなお意義を持ち続けています。
「ブラジルへやって来たクラウディア・アンデュジャールは、サンパウロ、さらにはブラジリア、ボアビスタを経て、ヤノマミの地へと至りました。彼女が到着したのはカトリマーニの伝道本部でした。彼女は自分のプロジェクト、これから何をするか、何を植えるかについて考えていました。バナナの木を植えるにはどうすればいいか。カシューナッツの木を植えるにはどうすればいいか。彼女は、友だちになるため、インディオの衣服を身に着けました。ヤノマミ族ではないものの、彼女は本当の友だちです。出産や、女性たち、子供たちの写真を撮りました。その後、彼女は、住民、土地、言葉、習慣、祭り、ダンス、詠唱、シャーマニズムを守り抜くための闘い方を私に教えてくれました。彼女は、実の母のように、私に物事を説いてくれました。私は、政治家や、先住民以外の人々と闘う術を知りませんでした。彼女が、白人を殺すのではなく、ヤノマミ族を守る発言をするという武器を与えてくれたことに感謝しています。彼女の作品を誰もが見られることはとても重要です。すでに亡くなったヤノマミの人の写真もたくさんありますが、こうした写真は、ヤノマミ族を知り、尊重する上で重要です。ヤノマミ族を知らない人は、こうした写真を通して彼らのことを知ることになります。そこには私の同胞が写っています。彼らを訪ねたことがなくても、彼らの姿はここにあります。私やあなた、あなたの息子や娘、若者、子どもたちにとって、この地で長年暮らしてきたブラジルのヤノマミ族を目にして尊重することを学ぶことは貴重な経験となるでしょう」
ダヴィ・コペナワ(シャーマン、ヤノマミの族長)
「本展は、クラウディア・アンデュジャールのアートを通して、80年代と90年代のブラジルにおける経済的強欲さによって引き起こされる虐殺からアマゾンのヤノマミ族を何とか守った共闘の物語を伝えます。コロナ禍がヤノマミの土地へと急速に広まり、かつ、ブラジル政府の無策が続く中、歴史が繰り返されるのではないかと案じています。行動を起こさなければ、この地でまたしても大規模の人道上の災厄が起こるでしょう」
チアゴ・ノゲイラ(本展キュレーター)
キュレーター
チアゴ・ノゲイラ(ブラジルのモレイラ サレス インスティチュートの現代写真部 部長)がヴァレンチーナ・トング(Valentina Tong)の補佐のもと、キュレーターを務めます。
本展はモレイラ サレス インスティチュート(ブラジル)と共同で開催され、Hutukara Associacao Yanomami(ボアビスタ)とInstituto Socioambiental(サンパウロおよびボアビスタ)の後援を受けています。
展覧会カタログ
本展には、クラウディア・アンデュジャールの写真ならびに彼女のノートやヤノマミ族によるスケッチの抜粋を収めた、フランス語、ドイツ語、イタリア語のカタログが用意されています。カタログは、クラウディア・アンデュジャール、チアゴ・ノゲイラ、ブルース・アルベールによるテキストと併せて、ヤノマミ地域の地図、ならびにクラウディア・アンデュジャールの生涯とヤノマミ族の歴史を記した年表を収めています。
Unahi Opiki thëri, Roraima, 1974
© Claudia Andujar
本展の今後の開催場所
『クラウディア・アンデュジャール展:ヤノマミ族の闘い』は、2019年にモレイラ サレス インスティチュート(ブラジル)、2020年にカルティエ現代美術財団(パリ)で開催されました。ミラノ トリエンナーレでの開催後は、2021年にFundacion MAPFRE(バルセロナ)、2022年にFotomuseum Winterthur(スイス)へと巡回する予定です。
カルティエ現代美術財団は、ヤノマミ運動とクラウディア・アンデュジャールの活動を20年以上にわたって支援してきました。クラウディア・アンデュジャール、およびタニキ(Taniki)、ジョゼカ(Joseca)、エフアナ(Ehuana)、カレピ(Kalepi)といったヤノマミのアーティストたちは、いくつかの展覧会に参加しており、当財団のコレクションにも作品が収められているアーティストです。カルティエ現代美術財団は、2003年の『Yanomami, Spirit of the Forest』展で初めてクラウディア・アンデュジャールの作品を展示しました。クラウディア・アンデュジャールは2012年に『Histoires de voir:Show and Tell』展で再度カルティエ財団とコラボレーションを行い、紙を使ったヤノマミ初のアーティストであるタニキの作品を展示しました。2013年には、1981年から1983年までヤノマミ全域で彼女が主導した予防接種キャンペーンの際に撮影した感動的なID写真シリーズ「Marcados」を携えて『America Latina, 1960-2013』展に参加しました。
ミラノ トリエンナーレは、クラウディア・アンデュジャールの作品を取り上げる本展を機に、ヤノマミ族への取り組みを通じてカルティエ財団と協力しており、イタリア国民がヤノマミ族の歴史、苦闘、日常生活に目を向けることを願っています。
カルティエ現代美術財団は長年にわたり、環境、気候変動、動植物の世界の破壊、森林伐採、先住民とその文化の消失といった現代の主要な問題を探ってきました。アーティスト、知識人、科学者らと協力し、パリや世界各地の文化施設で催される展覧会においてこうした問題を取り上げています。ミラノ トリエンナーレは、人間と自然の関係、環境、都市生活といった、現代社会のいくつかの主要なテーマを取り上げる多数のプロジェクトに取り組んできました。第22回ミラノ トリエンナーレ国際展『Broken Nature: Design Takes on Human Survival』(2019年3月1日-9月1日)は、地球の現在と未来について批判的に考察する場を提供しました。2022年に開かれる第23回国際展に向けたセミナーや、都市林業活動への支援は、現代のこうした喫緊の課題に対するミラノ トリエンナーレの献身とコミットメントの一例です。
【お問い合わせ】
カルティエ カスタマー サービスセンター
Tel:0120-301-757