4月特集 | 働き盛り30代のアンチエイジング～今からはじめる、10年後の自分づくり～

　どんなに髪型をきちんと整えても、スキンケアに勤しんでいても、笑った口元から覗く歯が汚れていたら、その努力は水の泡。自分が思っている以上に歯が与える印象は強いのだ。何年か前に“芸能人は歯が命“というキャッチフレーズが流行したが、白い歯は若々しく見えるだけでなく、清潔感やポジティブな印象を与えられるので、“一般人も歯が命”なのである。

　しかし、コーヒーやワイン、タバコなどが原因の歯の黄ばみや、加齢による変色は日々の歯磨きだけではなかなか落とせない。そこで今回は、歯のアンチエイジングの第一人者である澤歯科院長・澤政樹氏にホワイントニングに対する疑問をぶつけてみた。

　名古屋のオフィス街に佇む澤歯科は、開業明治19年。120年以上の歴史を持つ歯科医院である。さらに創業者の祖先を辿っていくと、尾張国の中心部・清洲（現在の愛知県清須市）を取り仕切っていた代官職を務め、今なおその地域の人々に語り継がれる人物がいたりと、その歴史を綴るだけでも一冊の文献ができてしまいそうな歯科医院なのだ。話は少し逸れてしまったが、業界最古参の同医院は最先端の技術や機材を導入し、院内はサロンのようにスタイリッシュ。日本各地からその評判を聞きつけて、歯に悩みを抱えた人々がやって来る歯科医院である。

　「歯の色は外因性の色素沈着と歯の色自体が変わってしまう内因性変色があります。色素の沈着はタバコのヤニやコーヒー、ワインなどの色素が歯の表面にこびりついている状態で、これはスケーリングという歯の掃除で落とすことができます。一方変色は、遺伝や加齢、薬物による影響などで歯自体の色が変わってしまっていますので表面をきれいにするだけでは効果はありません。この場合はホワイントニングで白くすることができます。」

　“歯を白くする＝ホワイトニング”と誤解される方が多いが、歯そのものを白くするのがホワイトニングである。現在ではドラックストアなどでホワイトニングを謳った製品が簡単に手に入るが、人それぞれに歯並びが異なり、求める白さの度合いが違うので、やはりプロの指導の下で行うことをおすすめする。では歯科医院ではどんな治療がされているのだろうか。

　「ホワイトニングには主に2種類あります。自宅で行えるホームホワイトニングと歯科医院で行うオフィスホワイトニング。ホームホワイトニングは、自分の歯型からトレイを作り、その中に薬剤を塗って装着し2～8時間置きます。放置時間が長いので、寝る前に行うのですが、やはり不快感は拭えません。またオフィスホワイトングは特殊な光を当てて色を浮き出させます。1時間半程度で終わり効果も一度で実感できます。」

　歯科医院で行うホワイトニングは、カウンセリングにより歯の白さを選ぶ。その効果は半年から一年持続するという。

　「ホワイトニングの直後は、コーヒーやワイン、カレーライス、トマトなど色の濃い飲食物は厳禁です。ホワイトニング先進国アメリカでは、72時間はそれらの食べ物は避けたほうが良いとされています。」

　澤院長は、アメリカ・インディアナ大学のホワイントニング研究のFELLOW（研究者）の称号を得た日本におけるホワイトニングの第一人者。近年では、同大学のホワイトニングの権威・押田博士とともに、LED照射による本格的なホワイトニングを自宅でも可能にした画期的な製品を共同開発し、話題を呼んでいる。「Vivid」と呼ばれる髭剃り程度の大きさの機器から出るライトを、一日8分、薬液を塗った歯に照射するだけという気軽さと、3ヶ月で潜在的な歯の白さに達するという高い効果を誇る。さらに熱を発生させないので、誰でも安心して使用できるというものだ。

　「これまでホワイトニングは、不快な思いを我慢して行うしかありませんでした。しかも保険適応外なのでお金もかかります。これなら1セット4万円程度でずっと使っていただけるので、財布にも優しいです。」

　全国からこの歯科医院に人々が訪れるのは、ただ最先端の技術だけではない。澤院長の患者を思いやる人柄が信頼関係を築き、多くの人から頼りにされているのだとインタビューを終えて合点がいった。