INDEXへ Hiroyuki Kamiya   Berluti   L'ange noir   Ermenegildo Zegna   ゼロエンジニアリング/トライクジャパン
職人と芸術家が織りなす、無限の挑戦
 
押し着せではない品を提供したい
 高級ブランドでは物足りなくなってきた。世界で1つだけの逸品が欲しい。思い通りのデザインを具現化したい……etc。そのようなこだわりを持って、嗜好品を追い求める人たちが増え始めた昨今。そんな彼らの人気を集めているのが、完全オーダーメイド店『アンジュノワール』だ。
世界的に有名な芸術家・田原桂一氏がディレクターとしてこの店をオープンさせたのは、今から約5年前のことだ。

 「こんなものが欲しい」と思った時に、既製品から選ぶしかない買い方、また作ったものを押しつけることしかできない売り方。世の中に当たり前にある、そのようなスタイルに疑問を持ち続けていたことが、店をオープンさせる原動力となった。

「世界中を回っても、1から10までオーダーメイドで物を作ることができる店はほとんどありませんでした。最初は買い手のニーズに応えようとオーダーメイドを導入していても、コストの関係で路線変更をして量産的になり、ブランド化していってしまう。この店では本当に良い素材を取り寄せ、お客さんとスタッフと職人が、極限まで『いいもの』を追求していくことで、世界でオンリーワンの逸品を誕生させ、単なるブランド名以上の価値と贅沢さを実現しています。お客様の要望には一点の妥協もなく応えたいので、例えば一匹のクロコダイルの皮から牙まで全てを使用して作った鞄や、皮を染める段階から始める品もあります。またジュエリーや革製品に留まらず、存在しうる全てのものを対象に、提供し続けたいと思っています」と語る田原氏。様々な分野でのトップクラスの職人たちや、素材提供者との人脈、志を1つにした挑戦をやめない専属職人たちとの協力が、この信念を貫くことを可能にしているのだろう。

 アンジュノワールの店は、2軒に分かれている。1軒目は表参道の骨董通り沿いの1Fにあり、今までにオーダーのあった品々や、もともとオリジナルに作った商品を並べている。ここではお客様の感性を刺激し、創造力を広げるために様々なバリエーションの品を置いているという。言ってみればその品を見た人が、「もっとあんな素材で、こんなデザインにしたい」という閃きを助ける入り口にすぎない。本当の入り口は、この店の向かいのビルの2Fにある。アトリエを備えた応接間では、お客様のご要望にじっくり耳を傾け、時にはオーダーを受ける職人が直接話を聞きにくる、そんな贅沢で落ち着いた空間が広がっている。

世界中の教会や修道院を旅している時に、印象的な黒い顔の天使に出会った田原氏。後になって、ちょうどキリスト教と仏教の分水嶺である地域の寺院の壁画に黒い天使が描かれていることを知った。そこに争いではなく、西洋と東洋の融合を見た気がしたという。ヨーロッパと日本の伝統、最高の素材とのコラボレーションで至高の品を創るこの店にふさわしいとして、 『アンジュノワール=黒い天使』と名付けたそうだ。


アトリエを併設する応接室

 既製のものに収まらず、常に妥協なく感性を解放し、実現していくという、本来人に備わった能力を、作り手と買い手で切磋琢磨していくことができるのが、オーダーメイドの何よりの魅力である。それを繰り返すうちに、本当に『いいもの』を見る目がどんどんと養われていく、と田原氏は語る。それゆえ一度この楽しさを知った人は次なる至高の作品を追い求め、終わりを知らない。オープンから5年たった今、リピーターが続々と増えつつある事実が、何よりもそれを物語っているだろう。

既製品に物足りなさや空しさを感じている人は、是非一度このアンジュノワールに足を運んでみよう。そこには豊かな感性を刺激し、さらに提案し、決して妥協を許さない品を創りあげてくれる芸術家や職人たちが、笑顔で迎えてくれることだろう。


アンジュノワール
住所:東京都港区南青山5-16-3
TEL:03-5466-0507
公式サイト:http://www.angenoir.jp/



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『オーダーメイドだからできること』
     
03   職人と芸術家が織りなす、無限の挑戦
L'ANGE NOIR
     
05   オイルの匂いのオーダーメイド 
ZEROengineering/TRIKE JAPAN
 
02   美しき哲学 ―人生を豊かに彩るビスポークシューズ―
Berluti
     
04   妥協を許さない、老舗のものづくり
Ermenegildo Zegna
     
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