東京・千代田区のニューオータニ美術館にて、2009年7月11(土)~8月23日(日)の期間中、「謎のデザイナー 小林かいちの世界」展が開催される。
今回の展示は、大正時代の後期から昭和初期にかけて、絵はがきや絵封筒のデザインを数多く手がけた京都のデザイナー、小林かいち(本名:嘉一郎、1896~1968年)の、謎に包まれた生涯と作品を大々的に紹介する、東京では初の展覧会となる。
小林かいちは、近年、その存在が注目され始めたばかりで、未だに経歴や作品の全貌は明らかになっていない。
しかし、ピンクやブルーを使った独特のグラデーションや、赤と黒などの明快な色の対比の中に、女性像をはじめ、ハートや月、星、トランプ、十字架などの多彩なモチーフを配したモダンな作品は、現代にも通用する、優れた色彩感覚やデザイン力を持っていると言えるだろう。最小限の輪郭線と、厳選された色を巧みに組み合わせて描き出された、“大正モダン”の情緒溢れる光景は、必見の美しさだ。
また、かいちは画家ではなかったため、今回の会場に展示される作品も、当時実際に販売されていた絵封筒や絵葉書、木版画が中心となる。未知のデザイナーかいちの、小さなサイズの画面に花開いた華麗な世界を覗いてみてはいかがだろう。