TOP > Special > 5月特集「自分のためのセカンドカー」

 



  フィアット500は、同名のクルマのデザインとイメージを再現しているが、まったく違う。旧型はエンジンをリアに置いていたのに、新型は前輪駆動だ。ボディはふた回りくらい大きいし、走りっぷりだって格段の差がある。現行のフィアット500は、1960年代のフィアット500の新型ではないのだ。  

  現行のミニが、オリジナルのミニとよく似ているが違うのと一緒。イメージとデザインを、セルフサンプリングしているのだ。強烈な個性を持っていた、自社の過去のクルマのコンテンツを再利用している。ファッションや時計などと同じブランドビジネスの一種だ。

 フィアット500は、往年の同名車ほどにスペース効率を追求していない分が、クルマとしての余裕につながっている。

 洒落っ気たっぷりのインテリア・デザインが、乗っているだけで楽しい気分にさせてくれる。

 フィアット500の存在感と注目度は、いま最も強烈だろう。流行のファッションと同じように、旬の雰囲気をプンプンさせ、つねに人々の視線にさらされている。最新のモードに着替えるように、セカンドカーを楽しむことができる。

text:HIROHISA KANEKO