TOP > Special > 5月特集「自分のためのセカンドカー」




 
  クルマがライフスタイルを作るのではなくて、ライフスタイルがおのずとクルマを選ぶものだと思います。スキーに行くから、セカンドハウスがあるからという理由でステーションワゴンが必要となったり、ただ運転そのものが好きだからスポーツカーに乗ったり、都市部に住んでいるから、なるべく小さいクルマに乗ったりといった具合に、それぞれのライフスタイルと選択するクルマは密接な関係にあります。またライフステージという要素もあって、歳を経ていくにつれて、家族が増えたり、仕事が変わったり、住むところが変わってくるように、人生のステージ、舞台が変わってくるわけです。   「クルマは好きなんだけれど、子供がいて荷物が多いから、今はワゴンに乗る」とか。スタイルとステージの両方の要素があって、クルマに求める目的が決まっていく。特に一台目はその傾向が強いですね。
  ファッションにしろ、時計にしろ、クルマにしろ、自分がどういうふうに生きていくかを実現していくための道具だと思うんです。スーツを着るとか着ないとか、ジーンズをはくはかないも、自分がどう装いたいのか、どういう場に行くのかによって決まること。だからクルマにしても、余裕があれば目的に合わせて二台三台と持つこともありだと思うんです。




  セカンドカーを持つとなると、経済的にもそうですが、なにより気持ちに余裕が必要です。二台のクルマを持つことで、二つのステージ、二つの局面を持つことになります。普段、仕事や家族との移動用に使うセダンに乗っている人が、もう一台スポーツカーを持つとしたら、山やサーキットなどで乗らないとやはりおもしろくない。しかし人間とは弱いもので、仕事に追われて生活していると、土日にわざわざ山にクルマに乗りにいこうなんてなかなか思えないんです。疲れてしまって、家でごろごろしていたほうが楽じゃないですか。   やはりセカンドカーを持つことは、その人がアクティブでポジティブなイメージを持つ人だと僕はとらえています。山にスポーツカーで走りに行く場合でもそうですし、ワゴンにキャンプ道具を載せていくのでも、やっぱり気持ちに余裕があって、アクティブじゃないとできないですよね。気持ちがポジティブということは、自分の人生をどう前向きに切り開いていこうか考えていくこと。自分の気持ちを切り替えて生活できないといけませんね。だから休みの日に「僕はスポーツカーに乗るんだ」とか「私はワゴンでキャンプに行く」というのは、切り替えができるポジティブな人だし、セカンドカーが似合う人だと思います。



Car Concierge 金子浩久 -Hirohisa Kaneko-
モータリングライター。1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。2007年8月には、「トランスシベリア > 2007」ラリーにポルシェ・カイエンで参加し、モスクワからモンゴル・ウランバートルまで完走。総合12位、クラス9位に入賞。
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