デザイン大国であるデンマークの魅力を楽しむ

アマリエンボー宮殿から少し歩くと、人魚姫のいる海岸に着く。そこから見える対岸には風力発電のプロペラがいくつも立ち並ぶ。これを無粋と見るか否かはその人次第か。デンマークのエコロジー先進国ならではの風景だ。

フェレデリクス教会はアマリエンボー宮殿に隣接するノルウェー産の大理石で出来た教会。バロック様式で造られている。荘厳な鐘の音がアマリエンボー宮殿付近に響き渡る。アマリエンボー宮殿の敷地内は一般に公開されている。
コペンハーゲンの中心部から、有名なチボリ公園を越えると、ほどなくロイヤル・コペンハーゲンの本店やジョージ・ジェンセンの本店のあるストロイエにたどり着く。この通りには様々な食器やハイセンスなインテリアショップが立ち並び、ウインドウ・ショッピングするだけでも楽しいが、北欧特有の色使いが楽しい、文房具や小物など、おみやげには最適のものが多く揃っている。しばし北欧の魅力的なデザインを楽しんだら、国民に圧倒的な支持を得ている女王マルグレーテの住む宮殿、アマリエンボー宮殿へ足を進めてみよう。ここには建物に塀も柵もない。日本では考えられないほどに開放的だ。そして宮殿から徒歩5分程度でコペンハーゲンを守るために作られた「カステレット要塞」跡地に。周囲には有名なホテルもあり、過去に激しい戦闘のあった場所とはとても思えない。コペンハーゲンに行った人が必ず一度は訪れる「人魚姫の像」もこの近くだ。
人魚姫の像のある海岸近くにはヨットハーバーがあり、豪華なプレジャーボート、ヨットが多数係留されていて、豊かな国民の生活を想像させる。カフェやレストランが立ち並ぶ運河沿いのニューハウンではオシャレなカップルが冬の貴重な陽射しを楽しんでいた。そこで、ふとハーバーから沖を見渡すと、海の中に風力発電のプロペラが立ち並んでいる景色が見える。これもこの国の特色のひとつ。北海油田を持ち、エネルギー大国としての豊かさを持つものの、国内ではその資源を極力利用せずに輸出に回している。すでに風力発電などのクリーンエネルギーが国内のエネルギー消費量の20%にも上っているというのも驚きだ。市民のエコロジー意識も非常に高く、街には多くの自転車が走っているのもそのせいだ。市内によく見られるレンタル自転車は無料であり、コインを入れれば観光客でも借りることが出来、コインは返却時に戻ってくる。「100年後の未来」を考え、安心して子供を生め、育てることが出来る政策がなされるこの国、国民の政治家への信頼は厚く、汚職とは無縁という。どこかの国の政治家に見習って欲しいと切実に思う。
協力:スカンジナビア政府観光局 Photo&Text Takamasa Wada


アウトドア系の雑誌社に入り、いくつかの編集長を経験した後、昨年までラグジュアリー系の会員誌の編集を約5年間務める。船、高級外車、不動産、投資などの記事を得意とする。プライベートではカヤック、山岳スキーなども行なうアウトドア志向である。アウトドアの知識を活かして防災士の資格を取得後、災害危機管理アドバイザーの肩書きを持ち、著作多数。防災関連では講演、TV、ラジオなどの出演も多い。