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  2004年、生地卸問屋、染色業、繊維加工業など、児島のデニム業界で働く30代の男たちが集まって生まれたブランド『graphzero(グラフゼロ)』。昼間は本業を持ち、仕事の終わった夜に集まって、新しい生地、加工、染めなど企画し、自分たちが作りたいジーンズを作り上げる。

「オンリーワンに近いですよね。オリジナルで生地から企画していますから」と『graphzero』代表の鈴木徹也さん。

「クリエートのことだけを考えて、お客(卸先)もつけずに、とにかく作る。クリエイターだから、人の顔を見てやってない」

  『graphzero』の商品は、まったくもって営業活動をしていないのだ。その心意気が、業界で“男前ジーンズ”と呼ばれる所以である。

  建築業や電気工事などの職業を経験し、2003年に家業である生地卸業の営業を手伝うようになった鈴木さん。メーカーに生地だけを見せても、完成品のイメージを浮かべてもらいづらい。それなら、最終形態(完成したジーンズ)を持って、メーカーに生地のプレゼンをすればいい。それを叶える形として作ったのが『graphzero』だった。

「当たり前の商品を作ってるだけなんて、そんなのおもしろくないじゃろ?それなら量産品を買えばいい」

デニムに児島の土や葉っぱをくっつけて『ジオラマ加工』と言ってみたり、ボタンに乾電池の希硫酸をかけて溶けたような加工にしてみたり、こうやって新しい発想が詰め込まれたジーンズは、“アート”であり“宝物”。

「クリエイター=パイオニアでなくてはならない」と鈴木さん。

  児島のデニム業界では、10~30代の若い職人や経営者たちが、その感性を伸び伸びとぶつけ合っている。分業体が確立されているため大きな工場は必要なく、わずかな資金で起業できる地盤があるのだ。小さな作業小屋さえあれば、あとは職人のセンス次第。

「基本はファッションの一環だから、重要なのは、経験年数じゃなくて発想と技術。おもしろいことができる、感性があるかどうかなんです」。


『graphzero』の商品に関する問い合わせ先:http://www.craftcafe.co.jp/graphzero/graphzero.html